2023年12月4日月曜日

IOCとの「対話」から撤退を

IOCが11月30日、冬季五輪の開催に関して公表しました。

2030年はフランスのアルプス地方を、

2034年はアメリカのソルトレイクを、

「開催のための『狙い定めた対話』に招待」した

とのことです。

10月中旬に秋元市長が「30年招致断念」と共に説明していた

「34年以降の招致の可能性を探る」ことは

不可能となりました。

IOCはさらに、2038年についてスイスを

「『優先的対話』に招待することで、特別な地位を与える」

としました。

「住民支持などまだ議論を深める必要のある分野への

対応を求め」ますが、

「優先対話の期間中、IOCは他の開催候補地との

話し合いを行わない。

優先対話は2027年末まで続く」と説明しています。

2038年の札幌への招致の可能性は僅かにあるものの、

2027年までは札幌と話し合わないのですから、

「可能性を探る」ことはさらに難しくなったのです。


今後の札幌招致は「今月19日に協議して決める」と

報じられています。

招致の可能性を探ることは止め、

IOCとの「継続的な対話」ステージから完全に降りる、と

明言するかどうか、注目です。


2023年10月23日月曜日

五輪招致断念後の市長への質疑録

 秋元市長が「札幌への2030年招致断念」を記者発表して

初めて議会での説明をしました。

その日の「決算特別委員会」で私が質疑しましたので、

その全容を掲載します。

(録音を文字にしたため、不正確な部分があります)


20231018日 決算特別委員会 ②部 スポーツ局関係

小形委員

本市が進めてきましたオリ・パラ招致や、それに関連する施設の整備等について質問をしたいと思います。

私は、本市がオリ・パラ招致をするにあたっては、何よりも市民、住民との合意、明確な賛同があって初めて、招致へと進むべきという立場で、2022年の第2回定例会では、2030北海道札幌オリンピック・パラリンピック冬季競技大会招致に関する住民投票条例を議案提案いたしました。住民の合意のない本市のオリ・パラ招致の推進については、予算案に対しても反対をしてまいりました。まず、これまでの招致活動等に関連して、市長に伺いたいと思います。先ほど市長は、今回の招致の断念について、東京大会の一連の事案があり、オリンピックそのものへの不信感が市民にあった、そして今なお理解が広がったとは言えないというふうに理由を述べられました。

東京2020大会のあの汚職事件等は大きな問題だと思いますけれども、市民の理解が深まらないもう一つの背景には、市長の招致活動の進め方、つまり市民の意向を確認することのないまま、一方的に招致に突き進んできたことがあると私は思いますが、市長の受け止めを伺います。

秋元市長

大会招致に当たりましては、市民の理解、そして支持が不可欠であるということであります。したがいまして、札幌市のこれまでの招致活動につきましては、2014年に市民の意向調査を行い、その結果を受けて、市議会でも招致決議をいただいて進めてきていたところであります。加えて、昨年3月に、再度の市民の意向調査を行い、一定の理解を、支持を得た上で、これにつきましても市議会から招致決議をいただいて、招致活動を進めてきたわけであります。したがいまして、その都度その都度において、市民の意向を確認し、また市議会とも議論をしながら、この招致活動を進めてきたものと認識をしております。その上で、昨年発覚をした東京大会の一連の事案を受けて、大会の見直し、大会運営の見直し案、それをお示しをした上で、改めて民意の確認を行うということを申し上げてまいりました。

その民意の確認に先立ち、市民理解を図っていくことが重要であるという形で、市民対話ということも続けてまいりましたが、現状の中では市民対話の中でも、依然として市民の不安の声はもちろん、承知を推進するという賛成の声もございますが、そういったものが混在をし、十分な市民の理解を得られている状況にはないということから、先ほど申し上げましたように、JOCからの山下会長からの提言をお受けをして、今回の結論に至ったというふうに認識をいただきたいと、このように思います。

小形委員

市長が先ほど答えられました、2022年の本市が行った3月の意向調査はですね、大会概要案やQ&Aが同封されて、この概要案とQ&Aをお読みいただいた上で回答してくださいというふうに、何度も求めるものでした。そして、大会招致というのは市民生活に好影響を与えるんだ、経費が増えることはありません、更なる経済効果も目見込まれますとメリットを散々強調して、このQ&Aをよく読んでから回答に入ってくださいと促されたものです。しかも調査票は、8つの質問項目のうち5つが、大会概要を理解したかできなかったかということに丸をつけさせるもので、そうやってメリットを強調した上でようやく8問目で賛否を聞くという、極めて誘導的なものであったということを指摘したいと思います。市民は招致について理解をしていないのに、一方的に理解してほしいと押し付けようとしてきたこの姿勢に対してずっと疑問を抱いていたのではないでしょうか。

部長にお尋ねをいたします。2014年に上田前市長が2026年招致を表明してからこれまで使ってきた費用のうち、招致活動のための経費、推進費だとか、機運醸成費などこれらは人件費を除いて、各年度ごとにいくらだったのか、そして、総額でいくらになるのか、どのような効果があったのか、お尋ねします。

里招致推進部長

これまでの招致活動に要した経費についてお答えいたします。

招致活動を表明いたしました2014年度が職員人件費を除いてということでございますので、2014年度が440万円余、それから2015年度が9800万円余、そして2016年度が3900万円余、2017年度4900万円余、2018年度が6700万円余2019年度が8700万円余、2020年度が11400万円余、2021年度が39600万円余、2022年度が3億円余となっております。そして2023年度は予算額でございますけれども13400万円余ということで合計いたしますと129000万円余りのということになります。

これらの経費につきましては会場計画ですとか財政計画の検討を始めとする大会概要案の取りまとめのほか、大会開催意義の、市民理解の促進ですとか、あるいはIOCとの対話に係る取り組みに要したものというふうになっております。

これによりまして、目指すべき大会の姿ですとか、まちづくりへの効果といったものを大会概要計画に示し策定をするということができたとともに、市民やIOCとの対話を重ねることで招致実現に向けた準備を進めることができたものというふうに考えております。

小形委員

今お聞きしますと、特に2019年度からは約1億円、2020年度も1.1億円、21年度が4億円、22年度3億円というふうになっております。市民合意のないまま招致に突き進んだために、約13億円使っても、市民の大きな賛同を得ることができませんでした。それどころか、かえって市民から反感を持つ効果になったのではないでしょうか。

私は2022年の第2回定例会で、住民投票条例の提案をいたしました。その議会の最終日の討論のときに、市民の声を公正に広く聞くことなく招致に走っている本市の現状は、否定的な意見を持つ市民との軋轢を生じさせるばかりだ、こう指摘してきましたけれども、まさに指摘した通りになったのではないでしょうか。

市長に伺います。不信感を募らせている市民と向き合い、今後に向けて、市民との対話を進めていくためには、まず、本市が市民合意のないまま招致に先走ったことについて正面から反省をし、その姿勢を明確に市民に示すことが必要だと思います。そのためには、いつの招致を目指すのかをJOCと相談するのではなく、一旦招致から撤退することを表明し、今後招致する方向に進む場合には、まず住民投票を行って、市民の意思を確認してから招致活動を進める。この明確な態度が必要だと思いますけれども、市長にそのお考えがあるのか伺います。

秋元市長

まずは2030年、そして2034年の大会、この開催地について、11月末のIOCの理事会において、絞り込まれ、内定が行われるという状況・見込みになっております。様々な条件が揃えばという形で条件付きで出ておりますので、30年大会あるいは34年大会の内定がどのように行われていくのか、このことを現状の中では注視していく必要があるものと考えております。その上で、先ほども申しましたように、34年大会ということが難しいという状況になった場合には、それ以降の招致活動について、どのように進めていくのか、これは市議会、あるいは関係の皆様とも改めて協議をさせていただき、明確な招致年次でこのことをはっきりをした段階で、いつの大会を目指すのかというようなことになった場合には、市民の意向を確認をするという考えでおります。 以上であります。

小形委員

市民が招致を支持しない理由には、元々暮らしが大変だからもっと市民生活への支援を札幌市の政策として充実させてほしいという願いが根強くあるんです。そこに、東京大会の贈収賄事件が発覚したので、さらに支持しない気持ちが強まったのです。

大体、新型コロナウイルスの感染拡大が始まった最中、2020年の129日に市民の多くの賛同があるのかどうかわからないのに、JOCと話を進めて、札幌を国内候補地として決定してしまったんです。市民の意向すら確認しないで決めてしまったことは、市民から見たら驚きなんです。そのことが大きな問題だと思います。

そして、第2回定例会で住民投票を提案した際、私、理由を本会議で述べました。20223月に本市が実施した意向調査の結果、賛否は結構拮抗していたこと、世界の都市では圧倒的な住民の支持があって開催をしており、IOCも地元住民の十分な支持を重要視していること、本市には、自治基本条例があり、市政の重要な事項について、住民の意思を確認するための住民投票を実施することができると明記されていること、札幌のオリ・パラ招致は、世界が注目する市政上の重要な事項であること、市長が自ら提案をしてしかるべきですが、それがかなわないので、条例案を提案したというふうに私は理由を述べました。そして、招致活動を進める前に、まず197万人を代表する市長として多くの市民に、賛成か反対かの意思を確認することが必要だと述べました。

市長のこれまでの進め方というのは、JOC、国内候補地にするんだということを決めた後に、その後3月に市民に意向調査を実施したんです。順番が逆ではないでしょうか。失った市政への信頼を取り戻すためには、まず招致から撤退をするということをいったん表明するべきだと思います。そうでなければ、今後34年あるいは38年という招致を進めようとしても、市民の理解は、広がらないと思います。なぜなら、東京大会の贈収賄の事件のことだけではなく、これまでの本市の進め方に不信感を持っている市民が多いからであります。

市長に改めて伺います。先ほど、冒頭で年次を定めて活動する場合には、改めて意向確認をするということをおっしゃられました。市長は、住民投票を行った後に、招致活動を行うというお考えなのかどうか、伺います。

秋元市長

市民の意思確認ということについて、これは多くの方にできるだけの意向を確認をしていく必要がある。そういう意味では、住民投票も一つの手段であるというふうに考えておりますが、どの手段をとるかというようなことにについて、また、いつ行うかということについてもこれまで申し上げました通り、次のステップに進んでいく場合には、市民の意向を確認をして進めていくということを申し上げたいというふうに思います。

小形委員

意向を確認するということは市長も何回も繰り返しおっしゃっていますけれども、その意向を確認する際に、どういう手法でいつやるのかということが非常に重要なポイントなわけです。30年招致の際も、市長は何度も私達がいつ確認するのかと聞きましたけれども、常に曖昧なお答えのままでした。

いつ確認するのか、どのような手法で実施するのか、今なお明快なお答えはありませんでした。だから、私は住民投票を実施するべきだと考えて、条例を提案いたしました。

私達が提案しました条例案に、案として明記しましたけれども、市長は、住民投票の適正な執行を確保するため、必要な情報を公平かつ公正に提供するように努めなければならないと私たちは提案で書きました。これ特別なことではなくて、住民投票をちゃんと条例として持っている自治体はほぼこういうことが明確に書いてあるんです。つまり、住民投票条例をちゃんと作ると、市長は、自らの責務としてやらなければならないこととして、情報提供をしなければならない。つまり今一生懸命住民に情報を提供するとおっしゃっていましたけれども、まさにその手法が住民投票をやろうと思えばできるということなのではないかと思っております。改めて曖昧な答弁だったということを指摘しておきます。こうした曖昧なままでは、今後どう進んでも、市民は納得しない、そこまで軋轢を生む、これまでの招致活動の進め方だったのだと私は指摘したいと思います。

先ほど、招致活動に関する費用について質問をいたしました。この129000万、これはですね、住民投票をやるのに十分なお金ということになるのではないでしょうか。私、条例提案したときに、この住民投票にいくらお金かかるんだと聞かれました。また、今期もそのことを質問された方がいらっしゃいましたけれども、129000万、これのお金があれば十分できる中身だったというふうに思っております。再び市民の意思を確認すると、住民投票をしないまま進めようというやり方、このままね。次年度も、理解促進だとか、招致推進という形でまた予算化しようとするのであれば、これは市民の大きな抵抗に遭うだろうと思っております。

担当部長にお尋ねしたいと思いますけれども、本市は2015年から、オリンピック・パラリンピック基金、これを創設して積み立てを行ってまいりました。このオリ・パラ基金について、現在の残高と、それから一般会計から繰り入れた金額は総額でいくらになるのか伺います。

里招致推進部長

オリ・パラ基金の残高と、一般会計による積立額一般財源による積立額ということでお答えいたします。オリンピック・パラリンピック基金につきましては大会の招致および開催に必要な費用について資金を複数年にわたり積み立てていくことにより、将来の財政負担に備えるとともに、市民や企業からの寄付金を広く受け入れるためということで、2015年度、20163月に札幌市基金条例の改正により設置をしたものでございます。

2022年度末の基金残高でございますけれども、519800万円余ということになっておりまして、このうち一般財源による積み立てにつきましては、決算剰余金等を活用いたしました過年度の複数回の補正予算に基づきまして残高は50億円というふうになっております以上です。

小形委員

50億円あれば、燃料高騰だとか、物価高騰などの対策ができるなというふうに思いますけれども、これだけのお金を積んでいるということを知らない市民は多いだろうと思います。

市長にお尋ねします。先ほど、ゼロベースにしたらというふうに言ったら、そのことについて考えていくというふうにおっしゃいましたけれども、ゼロベースにされるというのであれば、50億円も一般財源から積み上げた、この基金に積み上げたお金を1回、一般会計に戻してというお考えがないのか伺いたいと思います。

秋元市長

今後の進め方については先ほどご答弁申し上げましたように、まずは11月のIOCでの20302034年の大会の開催地が、どのように内定をするのかこのことを踏まえて、その後、その後の活動について、様々な方々と議論をし、審議会等も含めまして、議論をさせていただいて方向性を出していきたいというふうに思っております。

その上で、今基金のお話ございましたけどもこの基金は、オリンピック・パラリンピックの開催の準備のために積み立てるために、条例で改正をされたものでありますので、その目的以外に使うという場合には、条例改正が必要になるものと考えております。

小形委員

条例改正は、市長が提案すればできるということであります。今後、仮に招致を進めるのであれば、IOCのコーツ副会長が求めている通り、まず住民投票を実施して、住民がオリ・パラ招致していいよという了承を得てから、招致活動のための予算を組むべきであります。

議会も私は問われていると思います。私は、が条例提案をした際にですね、各会派の皆さんは、理解してもらうように努力することが重要なんだと。市民理解に努める、それを広げることが重要なんだと。多くの市民理解を広げる取り組みが必要なんだと、こういうふうに市長とほぼ同じようなことを言ったわけです。そして、議会で招致決議をあげた、そういうふうに市長も先ほど理由で述べられましたけれども、しかしですね、あのオリ・パラ招致の決議というのは、通常は市議会で上げる決議というのは、全会一致でやるという、これは暗黙のルールがあるわけなんですが、しかしこれは、私ども日本共産党と市民ネットワーク北海道の方が反対をしたけれども、多数で決められてしまった。つまり、反対する意見が議会の中にもあったにもかかわらず強行してしまった。そういうことなわけです。市長が住民合意のないまま先走る、そういう姿勢を共産党と市民ネットワーク以外の会派は後押ししたという姿となっているわけです。このままですね、先に調整をして、市民の意思を確認することなく、引き続き理解促進だとか、招致のための事業を再び進めるということになる。そのための予算も組もうということになれば、私は市民の不信感というのは払拭されないと思います。

市長が、自治基本条例に基づいた運営をする気があるのかどうかが問われていると思います。いつのタイミングで、どういう手法で確認するのかということが問われているわけです。オリンピックの招致は、市長もお認めになっておられるように、市政上重要な事項なわけでございます。

まず、いつ招致するか決める前に、住民投票を行う。これは世界の各都市の常識、ルールになっております。お金も含めてきちんとリセットして、ゼロベースで始めるというのなら、ちゃんとお金も含めてゼロで初めて、まず市民に対してきちんと意見を聞く、そしてそのための住民投票を行って、明確な賛同を得る。それから、次の招致活動のお金を組んでいくべきだということを強く求めまして、招致に関連するところは終わりにさせていただきます。

続きまして、札幌ドームや月寒体育館、大倉山ジャンプ競技場のことなどについて質問したいと思います。

まず、札幌ドームについて伺いたいと思います。2022年の6月の経済観光委員会で、今後の札幌ドームの運営方向について報告がありまして、中規模な観戦・鑑賞型の催し物ができるよう、新コース、コンサートモードを取り入れる、それからアリーナを2分の1、利用できるなど、料金設定の変更の条例改正が行われました。総事業費に14億円をかけて、現在は2023年度から27年度までを期間として、株式会社札幌ドームと指定管理の契約をしているところであります。この2023年から27年の期間において、需要の掘り起こしに努め、2023年度はイベント日数を14日、展示会を302024年度以降は、イベント日数を22日ずつ、展示会を26日ずつ見込むというふうにしております。

このことについて現状を伺いたいと思います。今年度のイベントの日数と、展示会の日数はどのようになっているのか、お示しください。

金谷スポーツ部長

札幌ドームの新モードの関係、そしてアリーナの半面モードの実施件数と今後の見込みということでお答えをさせていただきます。

今年度新モードを利用いたしましたイベントの開催実績といたしましては、910日に開催をいたしましたラグビーワールドカップに2023のパブリックビューイングの1件、現時点で今後開催を予定しているものが、1119日の自主音楽イベントの1件ということになってございます。

次にアリーナの反面モードを利用したイベントの開催実績でございますが、こちらは634日に開催をいたしました、ソフトダーツのトーナメントや、93日に開催されましたカスタムカーショーを含む9件。現時点で、今後、今年度末までに開催を予定しているものが115日の企業合同説明会の1件というふうになってございます。

今後につきましては現在調整中のイベントも数件ございまして、引き続き、より多くのイベント開催が実現できるよう、株式会社札幌ドームとともに取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。以上でございます

小形委員

見込んでいたイベント日数を見込んでいた展示会、これが現状そこにまだ至っていないという状況でありますし、その中には、ラグビーワールドカップのパブリックビューイングのこともおっしゃっておりましたけれども、これは札幌市の主催であります。札幌が、大家である札幌市が大株主である札幌ドームに、札幌市が主催してイベントを組むと、これは通常、民間の指定管理者の中では非常にレアなケースに入るのではないでしょうか。

 札幌ドームは2001年にオープンしましたけれども、既に築22年が経過しております。2022年度までのこれまでの9年間で、約64億円をかけて、建物本体の保全事業、これを本市の負担で行っております。建物は建てた後、修繕をして維持しなければなりません。今後の大規模改修、いわゆる保全事業、これはどのように計画がされているのか伺います。

金谷スポーツ部長

札幌ドームの保全改修についてお答えをさせていただきます。

札幌ドームは、今委員からもお話がありましたが、開業から20年以上を経過をしてございまして、良好な施設運営を維持するために、平成26年度に保全計画を策定し、これまで改修を進めているところでございます。今後の保全改修につきましては、アクションプラン2023において、5年間で48億円の事業費を見込んでおり、年間約10億円の保全改修を実施する予定でございます。具体的には、ホバリングステージの車輪や、展望台、エスカレーターの設備、ネットワーク設備、暖房設備の改修などを予定しているところでございます。今後の札幌ドームの営業に支障が生じないように、引き続き保全計画に基づき改修を進めてまいります。以上でございます。

小形委員

大きな施設ですから、この先も毎年約10億円ずつ保全のための費用をかけていく必要があると思います。しかし、ファイターズを失って、工夫しながら収支計画を立てておられると思いますが、今年度見込んだイベントや展示会も到達できない状況だということであります。

本市は今後、中島公園の周辺をMICEのエリアにして、展示会などができるような施設をつくると、こういう計画を持っておられます。また、ACCESS札幌を月寒東三条の旧北海道立産業共進会場用地、ここに移転させて、大規模な展示会や見本市などの多機能化、大型化のニーズに対応する、そういう施設を作ろうとしております。この先、人口減少が見込まれる中、新たな施設整備計画を立てていますが、札幌ドームがこれから作ろうとしているMICE施設や新たな展示場と競合するということになるかもしれない。そして、何よりも北広島に作られたエスコンフィールド北海道とは、激しく競争することは避けて通れないと思います。ボールパークですから、計画されている野球の試合や大きなイベントがなくても、常に人を呼び込む施設として作られ、運営がなされております。その結果、どんなイベントや展示会を開くときにも、多くの人を集客できる。また企画をする側もエスコンフィールドでやりたいなというふうになりやすい施設だろうと思います。

札幌ドームを取り巻く環境というのをしっかり捉える必要があるのではないでしょうか。そして今、ドームは築22年と申し上げました。この先、20年後、あるいは30年後、建て替えをするのかどうか、これが迫られるときが来ると思います。今後のドームの収支計画では、施設管理基準の見直しをして、清掃や保守点検業務のレベルや頻度を見直す。つまり、回数を減らすレベルを低くするということですから、建物の更新時期を早めてしまう可能性もあると思います。

本体の札幌ドームの経営や、今後は不透明でなかなか見通しが立たない、こういう現状の中で、新しくここをスポーツ施設のエリアとして進めようという計画があり、それはドームと相乗効果を持たせていくということを明らかにしております。つまり、今の月寒体育館を札幌ドーム周辺に寄せて、新しい新月寒体育館を作ろうという計画のようでございます。今の月寒体育館は、地下鉄月寒中央駅から歩いてすぐアクセスの大変良い場所ですから、新しい月寒体育館と、そして障害者のためのスポーツ施設は、現在の月寒体育館のある場所で、その周辺の市有施設などとの活用で考えるべきだと思います。

そこで、大会概要案では、新月寒体育館、これが400億円、施設整備費としてかかるというふうに示されており、そのうち180億円を国からの補助と見積もっておられます。2030年のオリ・パラ招致を断念したという今の現状で、国から180億円の補助をもらえる見通しはあるのかどうか伺います。

久米田施設整備担当部長

新月寒体育館の施設整備費のうち、国費取得の見通しについてお答えいたします。

令和411月に取りまとめました。北海道札幌2030オリンピック・パラリンピックの冬季競技大会概要案、更新版に記載しているその他180億円に、札幌ドーム周辺整備に係る都市公園事業として、社会資本整備総合交付金を見込んだものであります。

月寒体育館は建築からまもなく60年を迎え、老朽化が進んでいることから、オリンピック・パラリンピックの開催に関わらず、施設の更新は必要であると認識しており、施設機能を見極めるとともに、活用可能な国の補助制度を含め、様々な財源を検討するなど、可能な限り本市の負担を減らせるよう取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。

小形委員

明確にお答えいただきたいんですが、私は見通しがあるのかないのかということをお聞きしたんです。あるんですか、ないんですか。

久米田部長

これから国との協議を進めてまいります。以上でございます。

小形委員

ほとんどないということだと理解いたしました。

ドーム周辺地域をスポーツ交流拠点として考えておられます。具体的には農業研究センター、国が持っている敷地を購入しようというのが、この交流拠点とするエリアというふうに考えており、ここの土地の購入を考えているということでありますけれども、その見通しはあるんですか、ないんですか、お尋ねします。

久米田部長

札幌ドーム隣接地の取得の見通しについてお答えいたします。札幌ドーム隣接につきましては、農研機構などが保有しておりまして、これまで継続的に用地取得やその取得費について交渉を行ってきたところでございます。今後も札幌ドーム周辺地域におけるスポーツ交流拠点基本構想の実現に向けて、用地取得に関わる交渉を継続してまいりたいと考えております。以上でございます。

小形委員

新しい月寒体育館を建設するにあたって、国からのお金が180億は入らないということがわかってきたわけです。そして、この土地を買えるかどうかというのもただ今交渉中だということであります。それなのにですね、今、アイスリンク基本構想案というものをホームページに載せてパブリックコメントをくださいというふうにしているわけですね。新月寒体育館をドーム周辺に集めて作ろうという計画案は、オリ・パラ招致を断念した段階で、そのものの見直しが求められているのではないでしょうか。計画も抜本的に見直すべきだと申し上げたいと思います。

次に、大倉山、宮の森のジャンプ競技場についてお尋ねします。私はこの問題も取り上げてまいりました。宮の森にあるノーマルヒルのジャンプ台を使わずに、大倉山にあるラージヒルのあの隣、下から山の頂上を眺めて、右側にノーマルヒルの台を併設させる、そのための費用をラージヒルで21億、新しいノーマルヒルで61億ということを前回やり取りさせていただきました。しかしですね、この大会のレガシー72年に札幌で行ったオリンピックのレガシーを大切にするならば、宮の森のジャンプ台はなくしてはならないと私は考えます。前回質問したときに、この併設化によって、風致地区の樹木を切ることになるのではないかというふうに質問をいたしました。そうすると、樹木の伐採は最小限にとどめる計画でありますという答弁であります。

このジャンプ場の新しい計画の進捗状況はどうなっているのか。そして、樹木を伐採するという計画に変わりがないのか伺いたいと思います。

久米田部長

ノーマルヒル新設の検討状況と樹木伐採についてお答えいたします。

大倉山ジャンプ競技場の改修につきましては、ノーマルの併設化に向けて現在ジャンプ台の形状や位置等を定める基本計画の検討を行っているところです。新たなノーマルヒルは現在のラージヒルの下から見て右側に整備することを想定しておりまして、この位置には1972年大会前までは雪印シャンテと呼ばれるジャンプ台が設置されておりました。現在この場所には観戦スペースを兼ねる擁壁とともに1972年大会後に形成された樹木が存在しており、整備に向けては、一部でこれらの伐採が必要となります。このため、樹木の伐採を最小限とするために必要な樹木調査等を行いながら、併設化に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。以上でございます。

小形委員

最小限とは言っても、つまりは樹木を伐採するということです。あの大倉山の素晴らしい自然を、樹木を切って壊してしまうということなんです。最小限だったらいいのでしょうか。今ですね、東京では神宮外苑の開発計画が大きな問題になってます。スポーツ選手もミュージシャンも開発反対の声を上げています。それはつまり自然だとか、歴史だとか文化を壊してしまうことに、そして住民の声を聞かずに進めているということにノーという明確なメッセージを発しているんです。

大倉山は風致地区です。札幌の風雪に耐え抜いた樹木があり72年後、そこから育っている樹木があるのです。風致地区の基準に合致すればいいのか、最小限ならいいのか。こういうことが問われておりますが、私はそういう伐採は、勝手な人間の側の発想だと思います。

オリンピックにはこういう自然破壊だとか、都市開発という問題があって招致に反対する人がいるんです。しかも、大体この宮の森ジャンプ台がなくなってしまい、樹木を伐採して併設しようという計画について知っている市民は多くないと思いますよ。

宮の森のジャンプ競技場は、札幌の貴重なレガシーです。72年の冬季オリンピックで日本の選手が金銀銅を飾った選手の誇り、そしてそれを作ってきた市民の誇りが詰まっている場所ではないでしょうか。立派な宮の森の今の施設を、国際大会の基準に合わせた改修をして今後も活用するべきだと思います。そして、住民に対して十分な情報の提供をすること。決して拙速に前に進めることがないよう求めまして、私の質問を終わります。

2023年10月10日火曜日

「招致断念」の報に際して

「住民理解が進んでる状況とは言えない」と、
秋元市長が10月6日、2030年の札幌への冬季五輪招致を
断念する方針を発表しました。
前日夜にこのニュースを聞いたとき、
「でしょ、当り前でしょ!」と
思わずラジオに向かって大声を出してしまいました。
市民がいま取り組んでいる
「住民投票条例制定を求める」直接請求署名運動をはじめ、
「不招致デモ」など工夫を凝らして声をあげてきた
市民の力が大きく広がった結果であり、
市政を動かした瞬間です。


報道を見ると、市長は
「東京2020大会の不祥事の事案を踏まえ」と
断念した理由を述べています。
その通り、ではあります。
でも、市民の気持ちは
それだけではないのではないでしょうか。
「税金は(子育て・福祉など)他のことに使ってほしい」
という声は根強くありますし、
何よりも、市民の意向を確認しないまま
招致に突き進む姿勢そのものに対して
異を唱えている市民が多いと思います。
いまや、東京大会の問題だけではない市政への不信感を
払拭できる方向が示せるのか、今後に注目です。

2023年6月9日金曜日

国の「大規模大会ガバナンス指針」

今年3月30日、スポーツ庁やJOCなどが、

「大規模な国際又は国内競技大会の

組織委員会等のガバナンス体制等の

在り方に関する指針」を発表しました。

札幌市は、それを踏まえて、

2030年五輪招致を目指して

「大会運営見直し案に関する検討委員会」を

立ち上げ、7月には「中間報告」を

まとめようとしています。

国の「指針」をみると、

法令順守を十分理解していれば

当然守るべきことが多く記載されていて、

これまで守られていなかったことに

改めて驚きます。

例えば、人材の採用について、

「出向元の企業と密接な関連性を有する部署には

配置しない」、「配置する場合であっても

当該部署の長には配置しない」とあります。

当然のことだと思いますが、

これが新たな「指針」なのです。


問題の背景となった大手広告代理店との

「専任代理店契約」については、

「考えられる」と容認して、

注釈では「一律に排除されるわけではない」

とまで書いています。

第三者による審査・監査制度が

とても重要だと思いますが、

「時限的組織になじまない」として

盛り込まれていません。

これをもとに、市の検討委員会が

議論を進めますが、

どこまで透明性や公正性が担保できるのか、

疑念を持って注目したいと思います。

2023年3月14日火曜日

宮の森・大倉山ジャンプ台の討論

3月10日の札幌市議会本会議で行った討論の中から、
私が予算特別委員会でとりあげた
大倉山ジャンプ台に関する部分。

大倉山ジャンプ競技場の施設整備費90億円のうち、
ラージヒルの北側に、ノーマルヒルを
新たに併設する整備費は61億円となり、
競技エリアの面積は約7100平方メートル、
観戦スペースとなる面積は約3000平方メートルを
拡張する見込み、との答弁でした。

ラージヒルの北側への整備となれば、
ラージヒル競技の観戦場所は、現在よりも距離ができ、
観戦客が楽しみにしている臨場感や躍動感が
薄れることになります。
また、新たに拡張する競技エリア7,100平方メートル部分は、
風致地区である大倉山の樹木を伐採することになり、
SDGsの観点から問題です。
宮の森ジャンプ競技場は、1972年の札幌冬季五輪で、
日本の選手が金・銀・銅を飾った
輝かしい歴史が刻まれている場所です。
選手にとっても市民にとっても、
ジャンプ競技の聖地であり、まさに歴史の浅い札幌の
誇るべきレガシーではないでしょうか。
この価値あるレガシーを守ろうともせず、
2030年招致の大会概要案で、
「レガシー」を強調するのはおおいに矛盾です。

これらについて、
市民に情報を十分に提供することとあわせ、
そもそも、2030札幌冬季五輪招致への市民合意が
不十分なもとで、
大倉山ジャンプ競技場への併設を
拙速に進めることのないよう求めます。