2024年3月2日土曜日

オリパラ調査特別委員会質疑

秋元市長が、2030年の五輪招致活動を停止することにしたため、

市議会「冬季オリパラ調査特別委員会」が開かれ、

総括的な質疑・討論を行いました。

日本共産党からは、私と佐藤議員が質問に立ち、討論を私が行いました。

私の質疑の主旨を以下記述します。


*** 2024年2月29日 札幌市議会 オリパラ調査特別委員会より


小形委員

やり取りを聞いておりまして、

本市は市民理解が重要であると繰り返し答弁されておりましたけれども、

私はこのオリ・パラ招致は、市民の意見を聞くとか、意思を確認するということを

総じて軽んじてきたと思っております。

それで、先ほども質疑がありました、20223月に、

本市が行った1万人への無作為抽出による市民意向調査について伺います。

この調査は、問1から8、そして8-123という設計で、

12は知っていたか知っていなかったかを聞く設問です。

3、問4567の聞き方は、

例えば、「札幌市では2030年大会について単なる一過性のスポーツイベントではなく、

北海道札幌が将来にわたって輝き続けるためのまちづくりに関する

プロジェクトとしています。この内容についてあなたはどう思いますか。

当てはまるものに一つ丸をつけてください。」

回答は、「理解した。理解できなかった。わからない。」

この三つの中から選ぶという仕組みです。

4も、共生社会の実現に貢献するものだということを理解したかどうかということを聞く、

5も、今ある施設を活用することを理解したかできなかったか、ということを聞く

という設問になっているわけです。

まず理解を求め、理解したか、しなかったかということをさんざん聞き、

そして最後の問8で、あなたはオリンピックを開催することをどう思いますかと聞き、

賛成から反対まで5段階で回答する、というものなんですね。

先ほど、「誘導する意図はなかった」と答弁しましたけど、

改めて、この設計は、不公正なものだったと思うんですけど、いかがですか。


奥村渉外担当部長

先ほどもご答弁しましたけれども、この20223月の意向調査に際しましては、

2030年大会の計画内容を理解をしていただいて、

その上で賛否について回答していただくということが重要だろうと

考えていたところでございます。そうした情報発信の観点から

冊子等を一緒に送付させていただいたほか、この設問の中にも、

今ご指摘をいただいたような形でございますけれども、

大会計画に関する設問をいくつか載せ、その上で、

賛否について確認をする設問を掲載をしたところでございます。

何か特定の方向に、恣意的に、誘導する目的で行ったものではございません。


小形委員

理解したかどうかと、賛成か反対かということを混ぜ込んで聞くから、

誘導的になるのではないでしょうか。

統計調査法を専門に研究されている横浜市立大学の教授、

つちやたかひろさんという方のコメントが、朝日新聞の記事に載っています。

札幌市の意向調査について、「全く知られていないテーマについて聞くのであれば、

事実関係を説明した上で賛否を聞く方法ありうる。しかし、札幌市民にとって

冬季五輪招致は既に大きな関心時で、それぞれ意見はあるのではないか。

賛否を尋ねる質問は、調査票の冒頭においた方がより適切だったと思う。」

私も最初にまずきちんとここを聞くべきだったと思います。

このやり方は、回答しようと思った市民が、「誘導的だ」と感じるのは

当たり前だと思います。

一体この調査にいくらかけたのか、費用をお尋ねします。


奥村部長

20223月に市民・道民を対象に行ったこの意向調査は、

実績額でございますが、郵送調とインターネット街頭調査を合わせ

総額で約840万円となっております。


小形委員

資料2-1に、2014年から23年まで、支持率の推移が折れ線グラフで表されています。

面白いことにですね、札幌市はこの10年間でたった2回しか調査をやっていなくて、

マスコミが毎年調査をしているんですね。

それを合わせて折れ線グラフで示してますけれども、

札幌市がやったアンケート調査結果は、

賛成に誘導しようとする意図が表れたグラフにもなっていると私は思うんですよ。

2021年のマスコミ調査では、賛成は48%だったんです。

ところが札幌市がやった調査は賛成52%。

その後マスコミがやった調査は賛成42%と、札幌市がやったときだけ、

賛成が上がったんですよ。

一方、反対はどうかといいますと、マスコミの2021年のときには、

反対の市民は50%いたんです。

札幌市がやった調査は38%に下がったんです。

ところが、その後のマスコミ調査では57%に反対が上がっている。

私は意図があったかはわかりませんが、結果としては不公正だったということを、

見事に示したグラフだなと思っております。

さらに、こうした誘導的なやり方が、札幌市の判断をも誤ることに

繋がったのではないかと思っています。

840万円かかったとお答えただきましたけれども、

市民からの批判は免れないのではないでしょうか。

次に、IOCが市民、住民の意思を重視している点について、お尋ねします。

2019年のこの調査特別委員会で、本市は、

IOCも住民支持を重視しており、招致に多くの市民から支持を得ることが何より重要だ」

と答えておられます。

このグラフ全体は、賛成は減少傾向、反対は増加傾向を示していますが、

IOCが、この状況で札幌との対話に進もうと考えると思っていたのか、

スポーツ局として、これは対話できるぞ、と思っていたのかどうか、伺います。


奥村部長

ご指摘の通り、IOCは開催地を決定するにあたりまして

住民支持という部分を非常に重視をしているところでございます。

そのような観点から、開催地として選定をされるためには、

我々もしっかり住民支持を上げていく必要があるという

認識を持っていたところでございます。

そのため、市民の皆様からの理解と支持を得られるよう、

またオリンピックへの不信感や招致活動に対する社会的な状況の変化の中から

そういった懸念が大きくなる中で、

こうした市民のご不安や懸念の声に向き合いながら、

様々な情報発信や市民理解の促進に取り組んできたところでございます。


委員長

奥村部長、質問の趣旨と答弁がちょっと違うんじゃないかな。

小形委員の質問は、IOCの開催地決定に向けて住民支持の関係を

どう受け止めていたかっていうことを聞いてて、

今の答弁、違うなという気がするんだけど。


奥村部長

IOCは招致プロセスの考え方の中で、住民支持をしっかり確保するように、

という考え方で、開催地に手を挙げている都市には

住民支持にしっかり取り組むように求めてきているという部分では、

札幌に対しても同様にそういう考えを示し、

我々もそれに応えるべく取り組みを進めてきたというところでございます。 


小形委員

応えるべく努力をしてきたのは私もわかるんですけど、

このグラフに示されているのは、

全体として反対が増加傾向、賛成が減少傾向という状態です。

これを、IOCが対話しようと思えるものだと本市が考えていたのかどうか、

お聞きしたいんです。


奥村部長

IOCはその招致プロセスの中で開催地決定に至るまでに、

対話というものを大変重視したそういうプロセスを持っていたところでございます。

なので、我々が2030年の招致ということを目指すにあたって、

先ほど申し上げました通り、IOCとの対話プロセスにおいては、

住民支持を、強く重視をしているという考え方が伝えられ、

我々もそれに応えるべく取り組みを進めてきたというところでございます。


小形委員

本当に住民から支持されるという段階には至っていないということを、

このグラフは表しているのですよ。

ですから、本当に住民から支持されるためにはですね、

少なくとも、この3月の意向調査の結果、相当不公正ではありましたけれど、

しかし、5238という賛成反対が半々だという状況になったときに、

はっきりと市民の意思を聞くという住民投票をやるべきだったんじゃないでしょうか。

その結果で、その先招致を本当に続けるかどうかを考えればよかったのに、

それをしないで、もっと機運醸成だ、理解促進だと進めたから、

市民の抵抗が一層広がっていった、と私は思っております。

それで、検証にあたってですね、この度、外部有識者、それから関係団体との

ヒアリングということを行ったという報告でございましたけども、

なぜ一般市民を入れることなく、外部有識者と関係団体のみのヒアリングにしたのか、

理由、目的についてお聞かせください。

里招致推進部長

今回の総括検証に当たりましては、これまでの間、招致活動を通じて

市民対話事業などを通じて市民の皆様からいただいてきた意見、

それからメールや電話などを通じていただいた市民の声なども

今回の作業の中に加えて総括検証を行ったものというふうに思っております。

その上で外部有識者の皆様から意見を聞いたというプロセスを

今回の総括検証作業の中では取らせていただいたところでございます。


小形委員

もっと市民の声を聞きながら、振り返りをするべきだと思います。

札幌の招致活動は、初めから終わりまで、ほとんど市民を中心にしなかった。

これでは、IOCに選ばれることにならないだろうと思います。

少なくとも、賛否が拮抗した段階で、ちゃんと住民に投票などを行って意思をたずねて、

賛成が多いとわかってから、招致活動に進む、

このことをきちんと総括で入れていかないと、

この先、もし札幌市が再び招致しようとするときに、

同じ過ちになることがあると思いますので、

この点をぜひとも盛り込むことを求めまして、質問を終わります。