2024年4月24日水曜日

建設業が抱える問題への対応

先日、こんな説明を受けました。

2022年頃に設計していた学校改築の工事費を

この春に精査したところ、

近年の工事資材価格の高騰、

公共工事を積算する際に用いる労務単価の引き上げで、

当初より工事費が上がる、というのです。

あわせて、建設業労働者の週休2日制実現を率先する立場から

工期を再検討すると、3か月延長する必要も生じた、

といいます。

するとこの工事は、WTO「政府調達に関する協定」に

該当する22億8千万円を超える費用となり、そのため、

入札手続きに要する期間も2か月延ばす必要が生じます。

さらに、国の補助を受けるため、着工からの工事期間

「2か年以内」という条件をクリアする必要もあり、

そのためには年度当初すぐ着工、という工期設定が必要で、

入札→着工→工事終了の1期分だけで、

2年計画が2年半かかることになる、というのです。

3期に分かれたすべての工事終了は

約2年延びることになります。

学校への影響は心配ですが、

建設業が抱える長時間労働や

下請け構造による低賃金などを改善するためには、

こうした具体的な対応になるのだとつくづく思いました。


2024年3月6日水曜日

札幌冬季五輪招致への最終討論

日本共産党札幌市議会議員団を代表し、「北海道・札幌2030オリンピックパラリンピック冬季競技大会」の招致活動と停止について総括して討論を行います。

2014年に上田文雄前市長が、2026年の冬季五輪の開催都市として立候補を表明し、秋元克広市長になった2018年9月、2026年招致活動の終了とあわせ、2030年招致を表明し、招致活動・機運醸成活動を本格的に進めました。

我が党は、「世界の平和と友好、人間の尊厳」を掲げるオリンピックの精神に賛同するとともに、開催都市となる地元市民の圧倒的賛同がなければ前に進むことはできないと考え、議会での質問を重ねてきました。

本市は約10年間の招致活動を進めましたが、IOCが、2023年11月29日に、2030年、34年の候補地と、2038年はスイスと対話することを発表したことで、本市は事実上、招致を断念し、12月19日に「招致活動を停止する」こととなりました。

東京大会の一連の汚職事件はもちろんのこと、我が党が指摘してきた通り、市民との十分な合意がないままに招致しようとしたことが軋轢を生み、市民の反対世論が広がり、このような結果となったと考えます。


2019年、本市は「招致レースのスタート」だと位置づけ、取り組みを本格化させましたが、まだ市民の意向を確認していない段階でJOCと話を進めたため、2020年1月に、札幌市を2030年の国内候補地と決定したことに対し、「まだ賛否も聞かれていないのに、なぜ候補地となるのか」と、市民の中に疑問や不信が広がりました。この時期のマスコミの世論調査でも、賛否は半々であったのに、決定が先になったこの順序は、明らかに逆だったのではないでしょうか。

ようやく2022年3月に、本市は1万人の無作為抽出による「意向調査」を実施しましたが、その手法にも、結果による判断にも、大きな過ちがありました。

送られた封筒には、調査用紙のほか、大会概要案とQ&Aが同封され、「大会概要案およびQ&Aを」読んだうえでの回答が求められました。大会招致は「市民生活に好影響を与える」、「大幅に経費が増えることはありません」、「さらなる経済効果も見込まれます」など、不確定なメリットばかりが強調されたQ&Aを読んでから回答に入るよう促されたのです。調査用紙は、8項目のうちの5つが「大会概要を理解したか、できなかったか」に丸をつけさせるもので、最後の8問目でようやく賛成か反対かを聞く、という設計になっていました。

また、旭川・帯広など道内6都市の調査は、映画館来場者への街頭調査で、協力者にはオリジナルバッヂを提供する、という物品を使う手法でした。

さらには、調査実施時期は、北京オリンピックの直後で、選手たちの活躍に心を躍らせた心境に付け込むタイミングで、統計学の専門家から、調査票の設計について「賛成方向に誘導されている可能性がないとは言えない」との指摘を受けるものでした。

不確定な要素で招致はバラ色であるかのように描き、市民を賛成に誘導するような意向調査に840万円もかけて実施したことに対し、強い反省を求めるものです。

さらに、この意向調査の結果は、賛成52.2%、反対38.2%とほぼ拮抗し、「市民からの多くの支持を得た」とは言い難いものであり、この段階で、機運醸成活動をやめ、38.2%となった反対意見をもつ市民と対話する必要がありましたが、市長は、「招致の是非の決定ではなく、今後の進め方の参考とする」という態度に終始しました。

それを受けた本市が、市民理解が不足している、と、さらなる理解促進活動を行おうとしたことから、我が党は、2022年5月、第2回定例市議会で、「2030北海道・札幌オリンピック・パラリンピック冬季競技大会招致に関する住民投票条例案」を、市民ネットワーク北海道と共同で提出したのです。

市長が、「オリパラ招致は、まちの将来に関わる重要な取り組みと認識」している、と答弁したことは、本市が持つ「札幌市自治基本条例」第22条にある、「住民投票を実施」できる根拠であります。大会招致は、市政の重要な事項であり、賛否が拮抗した以上、間接民主主義を補完する住民投票を行い、オリパラ招致に賛成か反対か、市民の意思を直接確認する必要があると考え、提案したものでした。

これに対し、自由民主党会派からは、「議会での招致決議は議会として総合的な判断であり、必ずしも住民投票が優れているとは言えない」、民主市民連合からは、「今やらなければならないのは市民理解を広げる機運醸成であり、住民投票ではない」、公明党会派からは、「関係者が一丸となって取り組むべき時に、賛否のみを問う住民投票は市民を分断する」等、市民不在のまま招致を推進する本市と同調する理由による反対の表明があり、残念ながら可決に至りませんでした。

その後の8月末、東京2020大会の談合・汚職など一連の不祥事が発覚し、本市は、まだ事件の全容もわからないうちから早々に「クリーン宣言」を行い大会概要案を更新しましたが、事態が次々と明るみになるなかで、招致反対の市民世論はさらに高まりました。また12月、3月には、市民から議会に対し、住民投票の実施を求める趣旨での陳情や請願が出されました。

こうした中で、市長選目前の12月20日、本市は機運醸成活動を休止しましたが、翌年4月の市長選の結果は、市長が「冬季オリンピック招致に対する懸念なども含まれている」と答弁されたように、札幌市政への不信を表すものとなり、9月には、市民による住民投票条例の直接請求署名運動が開始されました。

また、本市が行ったオープンハウスや説明会で、参加した市民から「やめてほしい」「大会予算が増加するのではないか」など、寄せられた意見1086件のうち628件が不安や懸念の声で占める、という状況になったのです。

大会招致にかかった経費は、2014年度から支消が始まり、新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年度は1億1500万円、2021年度3億9600万円、2022年度3億円と、10年間で12億2100万円にもなりました。

市民から多くの支持を得た、との確認が一切ないままに、12億円を超える大会招致経費を使ってしまったことは、重大な問題ではないでしょうか。

議会も問われています。我が党と市民ネットワーク北海道が反対するとわかっていて、オリパラ招致の決議を多数決で決定しました。それにより、本市が「議会でも招致決議をいただいた」と後ろ盾にすることとなってしまいました。また、市民から出された陳情や請願は、丁寧な議論を重ねる必要があるものですが、住民投票の実施を求めた請願に対しては、わずか1回の審議だけで多数決により否決しました。市政の重要な事項であるからこそ、数の力で押し切ってはなりませんでした。

このたびの検証・総括は、市民の意思を確認しないまま進んでしまった過ちについて書かれておりません。総括にも一般市民は加われず、本市の招致活動は、最初から最後まで、徹頭徹尾、市民不在のままのものでした。間違った総括は、次の招致活動をも間違えることになります。

今後、本市が冬季オリンピック・パラリンピックを招致しようとするならば、まず、本市の施策をさらに充実させて、市民のウインタースポーツ実施率2019年度10.1%と下がっている現状を大幅に引き上げ、スポーツ愛好家を増やすことです。そして、招致について市民の賛否が分かれそうなときには、自治基本条例に則り、住民投票によって意思を確認し、多くの市民からの賛同を明確に得てから招致活動に進むという、IOCが求める確かな住民合意が必要です。

このことを明記せずに2030年招致活動の総括をすれば、再び同じ過ちを繰り返してしまうことを肝に銘じ、あらためて、市民の意思を確認することの欠如、多数の賛同を得たのちに進むことの欠如を検証するよう求め、討論を終わります。


2024年3月5日火曜日

なぜ起きたのか、深い反省を

2024年2月27日に、

「札幌市いじめ防止等のための基本的な方針」の

改定案について、文教委員会で質疑しました。

私の質問の概要です。


小形委員

冒頭に、教育長から経過について説明がありました 。

札幌市の重大事故調査検討委員会から、通算27回の調査検討委員会を行った後に、

報告書が出され、そこに再発防止策の提案があり、

そのことから本市のいじめ防止等のための基本的な方針を改定するという

流れになっていると理解しております。

再発防止のために、これまでの「いじめ防止等のための基本的な方針」を改定し、

より再発防止策を強化するのは当然のことだと思っております。

同時に、1人の中学生が悩み、傷つき、絶望の中で自死することを選ぶしかなかった。

この壮絶な苦しみをなぜ生じさせてしまったのか、深く考えなければなりません。

しっかりと振り返ることが再発防止に繋がると考えております。

そこで、この検討委員会報告書の中身に少し触れていきたいと思います。

この度の報告書の中には、令和3年・2021年3月17日に、在籍する学校で起きた

「屋上案件」と言われるものが書かれております。

「S1とともに、校舎の屋上に出ようとして、キャンプ用のヘッドライトや

安全ピンを準備し、施錠されている扉の鍵を開けようとしたところを

担任ではない教員に発見されるということがあった」という部分です。

私はこのときの対応が大変重要だったと思っています。

この報告書ではさらに詳しく、この案件の翌日に、

「学級担任が、扉の鍵を開けて屋上に侵入しようとした理由として、

飛び降りるため、死にたい、ということを聞き取っていたが、

それが他の教員との間で共有されることがなく、いたずらとして処理された。」

「自殺の意図を伝えたにもかかわらず、複数の教員に受け止めてもらえず、

むしろ強く叱責されるのみであったこととなる」、と書いてあります。

率直にお聞きしますけれども、なぜこのときに、この子の動き、心の吐露、

こうしたものを受け止めることができなかったのか。

なぜ、いたずらとして処理したのか。学校現場でこのような対応をしてしまった背景、

その要因はどこにあるとお考えなのか、教育委員会としての見解をお尋ねします。


広川児童生徒担当部長

この度の事案におきまして、子どもの発しているSOSを捉えることができなかったのは、

学級担任等の一部の教員がいじめの問題を抱え込み、

学校いじめ対策組織として適切に対応できていなかったことにあると

受け止めております。

こうした反省を踏まえまして、このたびの改定案におきましては、

子どもの些細な変化も見逃さないよう、校長のリーダーシップのもとで、

いじめの情報を早い段階から学校全体で共有し、

専門家も加えた学校いじめ対策組織において対応する必要があるというふうに

捉えているところでございます。


小形委員

新たに「7」として加えた、「一部の教職員による抱え込みを防ぐための取り組み」

という改定部分のことだと思います。

この報告書に、「当該小学校の教職員が小学校基本方針に掲げた、

常に子ども理解に努めるという姿勢が不十分であったと言える」と書かれているわけです。

次に「公表に際しての視点」で伺いたいんですけれども、

12月21日に公表した報告書は、屋上の扉の鍵を開けようとして、

屋上に上がろうとしたこの「屋上案件」などを含めて多くを黒塗りにして公表しました。

このことについて本市は1月26日に、

「調査の趣旨に沿って公表内容を検討するという視点が十分ではなかった」として、

2月14日に再公表をしました。

なぜ12月公表の時点で再発防止の観点が不十分だったのか。

国からは「いじめ重大事態の調査に関するガイドライン」が2017年(平成29年)に

出されており、十分にこのガイドラインは理解しているはずだと思いますが、

なぜ再発防止の観点が不十分になったのか、

その理由について伺いたいと思います。


広川部長

国の「いじめの重大事態に関するガイドライン」は、

重大事態発生後の対応や調査について示したものでありまして、

結果の公表にあたって、情報公開条例等に基づく対応のところにつきまして、

慎重になるあまり、再発防止に資するという観点が十分ではなかったと、

とらえているところでございます。以上でございます。


小形委員

文科省が出している「ガイドライン」にはですね、

第8・個人情報の保護という項目があり、その最後に、

「学校の設置者および学校は、いたずらに個人情報を盾に

説明を怠るようなことがあってはならない。」と書いてあります。

これは、公表ではないと理解されるのかもしれませんが、

当然ながら市民に向かって説明をするわけですから、

公表というのはイコールです。

私はここの受け止めがなされていなかったのではないかという印象を持っております。

この「屋上案件」の対応について、この報告書では、

いじめがあったと認定する根拠・要因となっています。

そして、「いじめアンケート」についても、何の対応もなかったということが、

認定する根拠だと書いてありました。

小学校4年生のときからの調査になっておりますけれども、

4年生のときも5年生のときも6年生のときも、

学校の「悩みいじめアンケート」には、「いじめを受けている」「ある」と

答えていたけれども、何も対応がなかった。

そのことは一部の教員の抱え込みによってわからなかったのかもしれません。

しかしですね、6年生になって、道徳のノートにこう書いていると報告されています。

令和2年6月24日付の道徳ノートにおいて、

「先生に言ったけど、お話しておくねって言ってたのにしてくれないので、

あてにしないで友達に言った。」

そして、7月29日付の道徳ノートには、

「先生に相談するのはあまりしません、なぜなら、相談してくれる先生と

相手にしてくれない先生がいるからです」、こう書かれているんですね。

6月、7月の時点でも、アンケート以外で、

この子の強烈な、先生への「自分のことを見てほしい」というメッセージがあり、

それを間違いなく読んだはずなんです。

ところがこの部分は、12月の公表の段階では黒塗りになっておりました。

これは先ほどの「屋上案件」と同様に、個人情報ではないと思うんです。

学校の対応が不十分だった、という部分を黒塗りにして発表した、

ということになるわけです。

今の道徳ノートに書いたところも、黒塗りのまま発表したんです。

これはですね、学校にとって不都合なことを隠そうとした。

いいですか。個人情報ではなくて、不都合なことを隠そうとした、ということであります。

そして、この子にとってはですね、先生に言ったけど対応してくれない、

さらに調査する人が報告書に書いたのに、公表してくれない、

こういうことなのではないでしょうか。

だからもう一度繰り返しますけれども、文科省が示した「ガイドライン」にある、

「いたずらに個人情報保護を盾に、説明を怠るようなことがあってはならない。」

こう厳しく戒めていることを、教育委員会がやってしまったということだと思うんです。

だからその時に、保護者がマスコミに発表した手記に、

「今でも、学校に対して、教育委員会に対して不信感があります」と書いているんです。

この保護者の方は何度も、「2度と起こさないで欲しいんだ、だからもっと公開してくれ」と

求めているんだ、とマスコミに聞かれて答えております。

このご遺族の方々の強い願いに今度こそ誠実に応じるべきだ、ということを

私は強く求めておきたいと思います。

この「屋上案件」が起きる1年前ですね。2020年の3月ですけれども、

札幌の秋元市長は、2019年6月に2歳の女の子が虐待を受けて亡くなるという

痛ましい事案が発生して、その検証報告書が出されたことから、

「職員の皆さんへ」というメッセージを発信いたしました。

全ての札幌市に勤める職員に向けたものでありましたけれども、

当該の学校では、このメッセージを読まれていたのかどうか、

教育委員会は確認をされたのか、伺いたいと思います。


広川部長

2019年の市長メッセージの学校での周知についてでございますが、

各学校におきましては、市長から直接メッセージを受け取り、

そのメッセージを読んだ上で、各学校で校内での研修等でその事案の重み、

そして再発防止に向けた取り組みについて共有しているところでございます。

教育委員会といたしまして、各学校でその取り組みがどのように行われたか

というところまで、直接点検をしているということはございませんが、

指導主事訪問、あるいは各研修の機会を捉えまして、

いわゆる虐待防止、2度と同じような事案を発生させないための取り組みについて、

周知徹底を図っているところでございます。以上でございます。


小形委員

メッセージを発信し、「これを読んでくださいね」と言っても、

現場でそのことがちゃんと受け止められているのかということが、

やっぱりこのときも問われただろうと思うんですよね。

市長はこのときに、この「検証報告書をぜひ読んでほしい」と言っております。

そして、「協働するということは、関係する複数の部局が折り重なって

仕事をするということ」なんだと。このことを深く理解してほしいという

発信をしましたし、もう一つは「支援が必要な方々の立場に立って考える」、

こういう仕事をしてください、と言ったわけです。

ですから、私、今回の再発防止の様々な方針は大事なことだと思うけれども、

現場にどういうふうに受け止めてもらうのか、

現場で具体的に自分の子どもたちと接するときに、どうやって生かしていくのかが

非常に大事なことだと思っております。

ぜひともこの「1人で抱え込まないための取り組み」というのを

実りあるものにしていただきたいと思っております。

この調査検討委員会が提案している再発防止策の中には、

「子ども理解のカンファレンスをいかに自校で実践できるかは、

今後具体的に検討を進めてほしい」と書いてあります。

しかも、その実践例を書いている書籍まで、何冊か紹介して記載しているんです。

ぜひ、こうした細かい最後のところまで、1人1人の教員の悩みをくみ取りながら、

どうやってやるか、というカンファレンスを徹底していただきたいと思っております。

次に、学校評価に関連して伺いたいと思います。

毎年、3月に各学校が教育委員会に「学校評価」というものを提出しております。

これはあらかじめ、教員やPTA保護者の方々、そして子どもたちに

アンケートをとりながら、自分たちの学校の特色や課題を共有して

教育活動を進めるためのものであります。

この検証報告書には、学校の様子について書かれているんです。

「当該生徒が在籍していた学年は、低学年の頃から、生徒指導上の問題が多く、

落ち着かない状態が続いていたようである。加えて、他の学年においても

問題が多数起きており、教員はその対応や予防に日々追われていた。」

この生徒が在籍していた当該校の

2018年度、平成30年頃から2020年度の学校評価において、

学校生活、あるいは教育相談などの分野の評価を、

受け取った教育委員会はどのように見ていたのでしょうか。

他の学校と比べて、あるいはこれまでのその学校の経年での推移などと比べて、

どう変化などを捉えていたのか、伺いたいと思います。


広川部長

学校評価に対する教育委員会の確認、そして学校への助言等についてでございますが、

学校評価で得られた情報につきましては、各学校を担当しております指導主事が、

学校訪問の際に学校長の方に、その改善すべき視点、あるいは今後取り組みにあたって、

逆に校長の方から要望をお聞きするなどの取り組みを進めております。

学校評価につきまして、いじめについての部分を必ず取り扱うということについては、

この度の方針で改めて明確化をさせていただいたところでございますので、

今後はこの学校評価での取り組みにつきましても、しっかり確認をしながら、

学校と家庭が連携を強化して対応できるよう取り組みを進めてまいりたいと

考えております。以上でございます。


小形委員

今も精神的ストレスから長期休暇に入る教員が一定数いると聞いております。

1人で抱え込んでいる教職員が今現在もいるのではないかと思っておりますし、

「あのクラスは大変だろうな」と思って見ている教員もいるのではないかと思うんですね。

ABCDの評価項目を設け、実際に子どもや保護者からもいろんな声を

聞き取りながら行う学校評価の大事なところは、

子どもたちの心身、あるいは精神的な状態が、つまり

学校に楽しく行けているのか、そして悩みや困っていることを先生に話せるのか、

先生が先生同士でそういうことをちゃんと伝え合ったりする場が、あるいは時間が

確保されているのかが大変大事だと思っております。

この点を、ぜひとも強化していただきたいと思います。

この調査をした委員長が、報告書の「おわりに」で書いていることは重みがあります。

なぜならばですね、この重大事態の報告書は今回は2回目で、

1回目の報告書が出されたときの「あとがき」にも書いてあるんです。

「教育委員会が生徒のいじめ理解を進め、安心して相談できる体制を

どのように作っていくのかが、いじめ予防の肝要であり、出発点であることを

認識するべきだ」と。前回の報告書です。

しかし、今回このような重大な事態が起きてしまったわけです。

ですから今回の報告書に書かれている中身を教育委員会が重く受け止め、

「今までにない強い決意のもとで、学校への取り組みの趣旨徹底を

指導して欲しいところだ。」と書いてありますから、

2度とこうしたことが起きないように取り組みを強化してください。

よろしくお願いします。


2024年3月2日土曜日

オリパラ調査特別委員会質疑

秋元市長が、2030年の五輪招致活動を停止することにしたため、

市議会「冬季オリパラ調査特別委員会」が開かれ、

総括的な質疑・討論を行いました。

日本共産党からは、私と佐藤議員が質問に立ち、討論を私が行いました。

私の質疑の主旨を以下記述します。


*** 2024年2月29日 札幌市議会 オリパラ調査特別委員会より


小形委員

やり取りを聞いておりまして、

本市は市民理解が重要であると繰り返し答弁されておりましたけれども、

私はこのオリ・パラ招致は、市民の意見を聞くとか、意思を確認するということを

総じて軽んじてきたと思っております。

それで、先ほども質疑がありました、20223月に、

本市が行った1万人への無作為抽出による市民意向調査について伺います。

この調査は、問1から8、そして8-123という設計で、

12は知っていたか知っていなかったかを聞く設問です。

3、問4567の聞き方は、

例えば、「札幌市では2030年大会について単なる一過性のスポーツイベントではなく、

北海道札幌が将来にわたって輝き続けるためのまちづくりに関する

プロジェクトとしています。この内容についてあなたはどう思いますか。

当てはまるものに一つ丸をつけてください。」

回答は、「理解した。理解できなかった。わからない。」

この三つの中から選ぶという仕組みです。

4も、共生社会の実現に貢献するものだということを理解したかどうかということを聞く、

5も、今ある施設を活用することを理解したかできなかったか、ということを聞く

という設問になっているわけです。

まず理解を求め、理解したか、しなかったかということをさんざん聞き、

そして最後の問8で、あなたはオリンピックを開催することをどう思いますかと聞き、

賛成から反対まで5段階で回答する、というものなんですね。

先ほど、「誘導する意図はなかった」と答弁しましたけど、

改めて、この設計は、不公正なものだったと思うんですけど、いかがですか。


奥村渉外担当部長

先ほどもご答弁しましたけれども、この20223月の意向調査に際しましては、

2030年大会の計画内容を理解をしていただいて、

その上で賛否について回答していただくということが重要だろうと

考えていたところでございます。そうした情報発信の観点から

冊子等を一緒に送付させていただいたほか、この設問の中にも、

今ご指摘をいただいたような形でございますけれども、

大会計画に関する設問をいくつか載せ、その上で、

賛否について確認をする設問を掲載をしたところでございます。

何か特定の方向に、恣意的に、誘導する目的で行ったものではございません。


小形委員

理解したかどうかと、賛成か反対かということを混ぜ込んで聞くから、

誘導的になるのではないでしょうか。

統計調査法を専門に研究されている横浜市立大学の教授、

つちやたかひろさんという方のコメントが、朝日新聞の記事に載っています。

札幌市の意向調査について、「全く知られていないテーマについて聞くのであれば、

事実関係を説明した上で賛否を聞く方法ありうる。しかし、札幌市民にとって

冬季五輪招致は既に大きな関心時で、それぞれ意見はあるのではないか。

賛否を尋ねる質問は、調査票の冒頭においた方がより適切だったと思う。」

私も最初にまずきちんとここを聞くべきだったと思います。

このやり方は、回答しようと思った市民が、「誘導的だ」と感じるのは

当たり前だと思います。

一体この調査にいくらかけたのか、費用をお尋ねします。


奥村部長

20223月に市民・道民を対象に行ったこの意向調査は、

実績額でございますが、郵送調とインターネット街頭調査を合わせ

総額で約840万円となっております。


小形委員

資料2-1に、2014年から23年まで、支持率の推移が折れ線グラフで表されています。

面白いことにですね、札幌市はこの10年間でたった2回しか調査をやっていなくて、

マスコミが毎年調査をしているんですね。

それを合わせて折れ線グラフで示してますけれども、

札幌市がやったアンケート調査結果は、

賛成に誘導しようとする意図が表れたグラフにもなっていると私は思うんですよ。

2021年のマスコミ調査では、賛成は48%だったんです。

ところが札幌市がやった調査は賛成52%。

その後マスコミがやった調査は賛成42%と、札幌市がやったときだけ、

賛成が上がったんですよ。

一方、反対はどうかといいますと、マスコミの2021年のときには、

反対の市民は50%いたんです。

札幌市がやった調査は38%に下がったんです。

ところが、その後のマスコミ調査では57%に反対が上がっている。

私は意図があったかはわかりませんが、結果としては不公正だったということを、

見事に示したグラフだなと思っております。

さらに、こうした誘導的なやり方が、札幌市の判断をも誤ることに

繋がったのではないかと思っています。

840万円かかったとお答えただきましたけれども、

市民からの批判は免れないのではないでしょうか。

次に、IOCが市民、住民の意思を重視している点について、お尋ねします。

2019年のこの調査特別委員会で、本市は、

IOCも住民支持を重視しており、招致に多くの市民から支持を得ることが何より重要だ」

と答えておられます。

このグラフ全体は、賛成は減少傾向、反対は増加傾向を示していますが、

IOCが、この状況で札幌との対話に進もうと考えると思っていたのか、

スポーツ局として、これは対話できるぞ、と思っていたのかどうか、伺います。


奥村部長

ご指摘の通り、IOCは開催地を決定するにあたりまして

住民支持という部分を非常に重視をしているところでございます。

そのような観点から、開催地として選定をされるためには、

我々もしっかり住民支持を上げていく必要があるという

認識を持っていたところでございます。

そのため、市民の皆様からの理解と支持を得られるよう、

またオリンピックへの不信感や招致活動に対する社会的な状況の変化の中から

そういった懸念が大きくなる中で、

こうした市民のご不安や懸念の声に向き合いながら、

様々な情報発信や市民理解の促進に取り組んできたところでございます。


委員長

奥村部長、質問の趣旨と答弁がちょっと違うんじゃないかな。

小形委員の質問は、IOCの開催地決定に向けて住民支持の関係を

どう受け止めていたかっていうことを聞いてて、

今の答弁、違うなという気がするんだけど。


奥村部長

IOCは招致プロセスの考え方の中で、住民支持をしっかり確保するように、

という考え方で、開催地に手を挙げている都市には

住民支持にしっかり取り組むように求めてきているという部分では、

札幌に対しても同様にそういう考えを示し、

我々もそれに応えるべく取り組みを進めてきたというところでございます。 


小形委員

応えるべく努力をしてきたのは私もわかるんですけど、

このグラフに示されているのは、

全体として反対が増加傾向、賛成が減少傾向という状態です。

これを、IOCが対話しようと思えるものだと本市が考えていたのかどうか、

お聞きしたいんです。


奥村部長

IOCはその招致プロセスの中で開催地決定に至るまでに、

対話というものを大変重視したそういうプロセスを持っていたところでございます。

なので、我々が2030年の招致ということを目指すにあたって、

先ほど申し上げました通り、IOCとの対話プロセスにおいては、

住民支持を、強く重視をしているという考え方が伝えられ、

我々もそれに応えるべく取り組みを進めてきたというところでございます。


小形委員

本当に住民から支持されるという段階には至っていないということを、

このグラフは表しているのですよ。

ですから、本当に住民から支持されるためにはですね、

少なくとも、この3月の意向調査の結果、相当不公正ではありましたけれど、

しかし、5238という賛成反対が半々だという状況になったときに、

はっきりと市民の意思を聞くという住民投票をやるべきだったんじゃないでしょうか。

その結果で、その先招致を本当に続けるかどうかを考えればよかったのに、

それをしないで、もっと機運醸成だ、理解促進だと進めたから、

市民の抵抗が一層広がっていった、と私は思っております。

それで、検証にあたってですね、この度、外部有識者、それから関係団体との

ヒアリングということを行ったという報告でございましたけども、

なぜ一般市民を入れることなく、外部有識者と関係団体のみのヒアリングにしたのか、

理由、目的についてお聞かせください。

里招致推進部長

今回の総括検証に当たりましては、これまでの間、招致活動を通じて

市民対話事業などを通じて市民の皆様からいただいてきた意見、

それからメールや電話などを通じていただいた市民の声なども

今回の作業の中に加えて総括検証を行ったものというふうに思っております。

その上で外部有識者の皆様から意見を聞いたというプロセスを

今回の総括検証作業の中では取らせていただいたところでございます。


小形委員

もっと市民の声を聞きながら、振り返りをするべきだと思います。

札幌の招致活動は、初めから終わりまで、ほとんど市民を中心にしなかった。

これでは、IOCに選ばれることにならないだろうと思います。

少なくとも、賛否が拮抗した段階で、ちゃんと住民に投票などを行って意思をたずねて、

賛成が多いとわかってから、招致活動に進む、

このことをきちんと総括で入れていかないと、

この先、もし札幌市が再び招致しようとするときに、

同じ過ちになることがあると思いますので、

この点をぜひとも盛り込むことを求めまして、質問を終わります。

2023年12月4日月曜日

IOCとの「対話」から撤退を

IOCが11月30日、冬季五輪の開催に関して公表しました。

2030年はフランスのアルプス地方を、

2034年はアメリカのソルトレイクを、

「開催のための『狙い定めた対話』に招待」した

とのことです。

10月中旬に秋元市長が「30年招致断念」と共に説明していた

「34年以降の招致の可能性を探る」ことは

不可能となりました。

IOCはさらに、2038年についてスイスを

「『優先的対話』に招待することで、特別な地位を与える」

としました。

「住民支持などまだ議論を深める必要のある分野への

対応を求め」ますが、

「優先対話の期間中、IOCは他の開催候補地との

話し合いを行わない。

優先対話は2027年末まで続く」と説明しています。

2038年の札幌への招致の可能性は僅かにあるものの、

2027年までは札幌と話し合わないのですから、

「可能性を探る」ことはさらに難しくなったのです。


今後の札幌招致は「今月19日に協議して決める」と

報じられています。

招致の可能性を探ることは止め、

IOCとの「継続的な対話」ステージから完全に降りる、と

明言するかどうか、注目です。