2018年12月17日月曜日

市電上下分離で運転手の賃下げ

市電の「上下分離案」
(軌道や車両を市が保有し運転業務などは民間)の説明が、
12月11日の経済観光委員会で行われました。

 現在、市電運転手の7割が非常勤ですが、

「非常勤の拡大は適当ではない」から直営ではできない、
というのが理由の一つになっています。
そして、「現在の累積欠損金約4億円が、
直営だと2045年には3億円だが、
分離すれば差し引き10億円の黒字になる。
理由は『人件費の水準が下がるため』」、と説明しました。

 非常勤の拡大が適当でないのはその通り。

しかし、非常勤を常勤にする、
という選択肢をとらないことが問題です。
市の説明によると、
「札幌市交通事業振興公社」に雇用を移すことで、
市の職員より低い賃金水準になるから黒字好転する、
のだそうです。
地方自治体がそんなことをしていいのでしょうか。
民間委託や指定管理者制度と同様に、
上下分離は、働く人の賃下げや雇用不安を生み出すのです。
 
人口196万人もの大都市で積雪寒冷地・札幌。
そこに路面電車を走らせ、
「ササラ電車」という除雪のための電車も開発し、
きちんと定時制を保って運行する、という技術は、
おそらく世界でも札幌だけがもっているのではないでしょうか。
そのくらい誇るべき、価値あるものなのです。

市は、上下分離しても安全面などは
「現行水準を維持する」と説明していますが、
分離してしまえば、その保障などありません。
「民間が判断すべき」などと言って
直接的な関与を避けることは目に見えています。
公共交通の役割は、上下一体だから果たせるのです。