2023年6月9日金曜日

国の「大規模大会ガバナンス指針」

今年3月30日、スポーツ庁やJOCなどが、

「大規模な国際又は国内競技大会の

組織委員会等のガバナンス体制等の

在り方に関する指針」を発表しました。

札幌市は、それを踏まえて、

2030年五輪招致を目指して

「大会運営見直し案に関する検討委員会」を

立ち上げ、7月には「中間報告」を

まとめようとしています。

国の「指針」をみると、

法令順守を十分理解していれば

当然守るべきことが多く記載されていて、

これまで守られていなかったことに

改めて驚きます。

例えば、人材の採用について、

「出向元の企業と密接な関連性を有する部署には

配置しない」、「配置する場合であっても

当該部署の長には配置しない」とあります。

当然のことだと思いますが、

これが新たな「指針」なのです。


問題の背景となった大手広告代理店との

「専任代理店契約」については、

「考えられる」と容認して、

注釈では「一律に排除されるわけではない」

とまで書いています。

第三者による審査・監査制度が

とても重要だと思いますが、

「時限的組織になじまない」として

盛り込まれていません。

これをもとに、市の検討委員会が

議論を進めますが、

どこまで透明性や公正性が担保できるのか、

疑念を持って注目したいと思います。

2023年3月14日火曜日

宮の森・大倉山ジャンプ台の討論

3月10日の札幌市議会本会議で行った討論の中から、
私が予算特別委員会でとりあげた
大倉山ジャンプ台に関する部分。

大倉山ジャンプ競技場の施設整備費90億円のうち、
ラージヒルの北側に、ノーマルヒルを
新たに併設する整備費は61億円となり、
競技エリアの面積は約7100平方メートル、
観戦スペースとなる面積は約3000平方メートルを
拡張する見込み、との答弁でした。

ラージヒルの北側への整備となれば、
ラージヒル競技の観戦場所は、現在よりも距離ができ、
観戦客が楽しみにしている臨場感や躍動感が
薄れることになります。
また、新たに拡張する競技エリア7,100平方メートル部分は、
風致地区である大倉山の樹木を伐採することになり、
SDGsの観点から問題です。
宮の森ジャンプ競技場は、1972年の札幌冬季五輪で、
日本の選手が金・銀・銅を飾った
輝かしい歴史が刻まれている場所です。
選手にとっても市民にとっても、
ジャンプ競技の聖地であり、まさに歴史の浅い札幌の
誇るべきレガシーではないでしょうか。
この価値あるレガシーを守ろうともせず、
2030年招致の大会概要案で、
「レガシー」を強調するのはおおいに矛盾です。

これらについて、
市民に情報を十分に提供することとあわせ、
そもそも、2030札幌冬季五輪招致への市民合意が
不十分なもとで、
大倉山ジャンプ競技場への併設を
拙速に進めることのないよう求めます。

2023年2月14日火曜日

旗印は「大会成功のため」

東京地検特捜部が、独占禁止法違反の容疑で、

東京2020大会の組織委員会・大会運営局の元次長や

電通元幹部ら4人を逮捕しました。

テスト大会の計画立案業務の入札、

その後の本大会運営など計約400億円の随意契約分も含む

談合の疑いで、容疑を認めていると報じられています。


世界中が注目する五輪ですから、発注する側は、

フタを開けたら受注者がいない、ということが

起きないように事前に調整しようという気持ちが働きます。

受注する側は、分刻みのタイムテーブルに従って

多くの人の動線を、細部まで検討する必要があり、

経験や実績が必然的に求められます。

そうなると、ノウハウを持つ大手広告代理店に

頼らざるを得なくなる、という構造だと思います。


秋元市長は、共産党の議会質問に対し、

「スポンサー収入が見込みを下回った場合、

収入に見合った大会運営を行う」と答えましたが、

それができるでしょうか。

組織が動き出せば、大会成功のため」を旗印にして

急速に、強力に、進めることになるでしょう。

札幌への招致を不安・不信に思う市民には、

パンデミックが起こっても東京五輪を強行した

大会組織委員会の姿が刻まれており、

札幌で開催した場合、再びこうした暴走が

起きるのではないか、という懸念が拭えないと思います。

2023年2月6日月曜日

「多様性尊重」に本気ですか

生産性がない、種の保存に反する、見るのも嫌だ。

首相の周りは性的少数者への差別感であふれています。

岸田首相が首相秘書官を更迭したのは、

多様性を尊重し包摂的な社会を実現していく

内閣の考え方にそぐわない。」からだそうですが、

ならば首相は本気で多様性を尊重しあう

社会にしようと思っているのですか、と

私はお聞きしたい。

不動産などの賃貸・売買等の手続き、保険加入などは、

複数の公的証明書類の提出が求められますが、

同性婚や夫婦別姓が法的に認められないために

書類が整いません。

愛する相手を支え守りたいのに、

就労・住居・入院介護など人生の節目ごとに、

LGBTQなど性的少数者の方々は選択を狭められ、

社会から外されてしまったような感覚をもつのです。

どれだけ多くの人が生きづらさを感じ苦しんでいるか、

首相は理解しているのでしょうか。

「家族観や価値観、社会が変わってしまう課題だ」

同性婚に否定的な国会答弁をした首相は、

自身が多様性を尊重しあう社会にしようとは

考えていないことを表していると思います。 

2023年1月31日火曜日

レガシィ(遺産)

自動車メーカーSUBARUが、

「レガシィ」という車を発表したのは

1990年頃だったでしょうか。

「遺産」という意味のネーミングには、

当時、倒産の危機が報じられるなか

技術者の総力と誇りをかけた開発があった、と

車雑誌で読んだことがあります。

札幌で招致しようとしている

2030年冬季オリパラの大会ビジョンには、

新たなレガシーを」と書かれています。

が、競技の花形であるスキージャンプ競技は、

宮の森ジャンプ台をなくして

大倉山ジャンプ台に宮の森のノーマルヒルを併設する

という計画で、その整備に90億円をかけます。

宮の森シャンツェは、

1972年の札幌冬季五輪で、金・銀・銅を独占した

輝かしい歴史を刻んだ場所ですが、

それを壊してどうして「遺産」と言えるのでしょうか。

工事費や維持管理費縮減のため、と市は説明しましたが、

もともとの経緯は、

大倉山に2つのジャンプ台があったものの敷地が狭く、

72年の札幌冬季五輪に対応できなかったために

宮の森にジャンプ台を新設したのです

それを今度は壊す計画が、大会概要案に書かれています。

札幌市はスクラップアンドビルドが得意ですが、

「作っては壊す」の繰り返しが遺産になるのでしょうか。

プレイヤーの誇りをかけた競技を遺産にする、という

敬意があるならば、壊す必要はないと思うのです。